1996-11-02 [J] [長年日記]
No.8 上流階級?
ある雑誌の見出しに「上流階級へのステップアップマガジン」なんてのがある。こんな見出しをつけるということは、この言葉に惹かれて購読する人がいるんだろう。でも、上流階級ってなにさ。
「上流階級」という言葉は基本的に差別用語である。上流がある以上「下流階級」が存在するからだ。面白いことに、はっきり下流階級と書こうものなら、確実に糾弾されるはずなのに、それを連想される「上流」については何も問われない。もちろんそんなことをいちいち問うていたら、言葉狩りがもっと激しくなるだけなのでやめてもらいたいけどね。
文明と文化が違うというのはある程度常識だが、金持ち=人格者でないのはもっと当たり前の常識である。一般にまともなものの考え方をしていれば「上流〜」という見出しには惹かれるはずはないと思うのだが、そういう人種が存在するわけである。
どんな人種かといえば、「お金がすべて」なんていう言葉を真顔で吐ける人種である。もちろんお金は大切だし、否定する気は毛頭ない。でも、「すべて」といえる人間ははっきりいって滑稽以外の何者でもない。「ばか」ともいってやるし、相手にもしたくない。
ここで、しらじらしい正論をいう気はないが、お金が中心になっている世の中に、いかにあさはかな人種が多いか気がついている人も多いと思う。そういう連中に限って、中身は空っぽなんだもん。
勘違いしてほしくないのは、「保守的なのが美徳」なんてことを言っているわけじゃない。軽く、明るくなんて、いい気になっている奴等が嫌いなだけ。深みのある人間(もしくはその過程にある人間)が少ないことを嘆いているだけ。